fc2ブログ

さよならバースディ*荻原浩

  • 2005/08/16(火) 22:22:40

☆☆☆☆・



どうして誕生日にさよなら?とタイトルを見て思ったのだが
バースディはチンパンジーに似たサルの一種・三歳のボノボの名前だった。
研究のために日本にやってきた初代ボノボのカノンが彼を産んだのが、この研究の初代責任者・安達の誕生日だったので、そのとき助手だった真が名づけたのだった。
その安達がバースディの飼育室の檻の前で自殺し、一年後の今、アシスタントで 真の恋人でもある由紀がバースディのスタディルームの窓から飛び降りて死ぬ。現場にいたのはバースディただ一人・・・・・。

研究所で生まれ育ったバースディは、自分を猿とは思っていない。むしろヒトの仲間だと思っていたのだろう。真や由紀と遊んだり話したりするバースディの姿は、それはそれは活き活きとしているのだから。みんな自分の友だちだと信じて疑わないように。そしてその気持ちは、真も由紀も同じなのだ。
それなのに、人間は純粋なだけではいられない、正しいだけでは勝ち残れないのだ。
悪いのは誰だったのだろう。安達や由紀はなぜ死ななければならなかったのだろう。
「ゆき むね いたい」という由紀の仕掛けによってバースディが真に示したこの言葉がすべてを表わしているのだろう。

さよならバースディ――といまここでは言わなくてはならないかもしれないが、いつかアフリカで、野性に返ったバースディと真がキーボード・シートで会話する姿をきっと見ることができると信じたい。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する