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今ここにいるぼくらは*川端裕人

  • 2005/09/04(日) 17:17:42

☆☆☆・・



ハカセ君こと大窪博士の小学生時代のあちこちを切り取った連作短編集。
博士は関西の川のそばで生まれ、泣き虫だったが、上級生のガキ大将に無理矢理くっついて川のはじまりを探す大冒険をしたりして 小学校低学年までをそこで過ごす。
その後、東京の郊外の山の中の町に引越し、言葉のことで仲間はずれになったりしながらも、≪自分≫のありようについて、頼りなさを感じながらもいつも考えながら生きている。
連作は、時間を追いつ戻りつして進むので、いまあることが、突然そこに現われたのではないことがよく解る。

キーワードはカバーにも使われているように≪川≫だろう。
川はぽつんとある日突然はじまったわけではない。空から降った雨が地下に蓄えられ、じわじわと年月をかけて染み出してきたものだろう。そして、流れ下り さまざまな風景を通り過ぎ 交じり合いながら河口を、そして海を目指すのだ。その間にも空へ還りまた雨となってどこかの川のはじまりになっているかもしれない。
川は人の生きる様なのかもしれない。
今ここにいるぼくらは、突然今ここにいるのではないのだ。

 TB
ちえこあさん

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今ここにいる僕らは [川端裕人]

今ここにいるぼくらは川端 裕人 集英社 2005-07川の始まりを見たくて山に分け入ったこと、クワガタを獲りに行って出会った人のこと、UFOや宇宙人を夢中で追ったこと、そして淡い恋の記憶。「ぼく」が「きみ」に語る、子どもの頃の思い出の物語です。小学校時代のいろんな年

  • From: + ChiekoaLibrary + |
  • 2005/09/05(月) 11:07:04

川端裕人 「今ここにいるぼくらは」

巻末の話と冒頭が繋がっているループしそうなストーリー。一見、怪しく見える人が実は、全うな人間だったなんてちょっとした、おちですね。

  • From: ゼロから |
  • 2009/06/10(水) 01:08:28

この記事に対するコメント

『川の名前』(読まれました?)に引き続きで、なんか今の川端さんのキーワードが「川」なのかなぁと思いました。

  • 投稿者: chiekoa
  • 2005/09/05(月) 11:08:20
  • [編集]

『川の名前』

未読です。
今度図書館で探して見ます。
そっか、川端さんはキーワード≪川≫の作家さんなのですね^^

  • 投稿者: ふらっと
  • 2005/09/05(月) 13:51:59
  • [編集]

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