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最後の記憶*綾辻行人

  • 2005/09/07(水) 17:41:21

☆☆☆・・



 目覚めている間も眠りの中の夢でも、
 思い出せるのはただひとつの記憶だけ――。
 
 若年性の痴呆症を患い、ほとんどすべての記憶を失いつつある母・千鶴。
 彼女に残されたのは、幼い頃に経験したという「凄まじい恐怖」のきおくだけだった。
 バッタの飛ぶ音、突然の白い閃光、血飛沫と悲鳴、
 惨殺された大勢の子供たち・・・・・。
 死に瀕した母を今もなお苦しめる「最後の記憶」の正体とは何なのか?
 本格ホラーの恐怖と本格ミステリの驚き――両者の妙なる融合を果たした、
 綾辻行人・七年ぶりの長編小説。
             (帯より)


母・千鶴は50歳になって間もなく若年性の痴呆症に取り憑かれてしまう。
近いところからどんどん急激に記憶を失い、人間性も失い、自分で動くこともままならなくなり、最後に残されたのは 幼い頃のこの上ない恐怖の記憶だけになり、日々刻々その恐怖に苛まれながら死を待つしかなくなっている。
千鶴の次男であり、この物語の語り手である森吾は、美しくやさしかった母の変わりようと、自分の将来についての不安から情緒不安定になりかけていた。
そんな折、偶然に幼なじみの唯に久しぶりに出会い、背中を押されて 母のルーツを辿ることになるのだが。

著者独特の、思考の合い間合い間に差し挟まれる恐怖のキーワードが謎の答えを知りたいという欲求を高め、恐怖感を煽るのに効果的である。
少しずつじりじりと核心に迫っていく緊張感に心臓が苦しくなるほどだ。
そして辿り着いたところにあったもの。それは、あってはならないが、あの場合なくてはならなかった もっとも恐ろしいことだったのだ。

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