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砂漠の船*篠田節子

  • 2005/09/21(水) 17:08:24

☆☆☆・・



 静かに崩壊していくものへのレクイエム
 「あの頃にかえりたい」と思うすべての人に。

 勝手なことをしあって、家族も地域も解体していく。
 砂粒のような個人が、それぞれの苦しみや悲しみを抱えて、
 死に向かって歩いていく。(本文より)
           (帯より)


東京郊外の公団団地に暮らす、妻と娘を持つ男・幹朗(みきお)
昇進よりも、地域に根ざし 地域と共に生きることを選び、家族揃って夕食をとり、家事も手伝い 地域の行事にも参加してきた。
それは、とりもなおさず父も母も出稼ぎに出、祖母を母代わりとして育った幼い頃の田舎暮らしによって培われた想いゆえだった。
父母がいなくても近所の誰彼が世話を焼いてくれることの心強さと、父母のそばで暮らせない物足りなさとが、地域に溶け込みながら家族で暮らすことを理想とさせたのだった。
しかし、幹朗の理想の暮らしは妻や娘にとっての理想ではなかったのだ。
ひとつ食い違った歯車は、不本意な想いを抱えたまま食い違いつづける。
なにが、どこがいけなかったのか、あるいはこれが当然のことなのかは物語が終わってもわたしには判らない。ただ、虚しいやりきれなさが胸にもやもやと消え残る。

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