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魂萌え!*桐野夏生

  • 2005/09/23(金) 21:02:31

☆☆☆☆・



 とことん行きなさい!
 夫の急死後、世間と言う荒波を漂流する主婦・敏子。
 六十歳を前にして、惑う心は何処へ?
 ささやかな<日常>の中に豊饒な世界を描き出した桐野夏生の新たな代表作。

 どうとでもなれ。
 強風に煽られて吹き飛ぶ木の葉。
 吹き飛ばされてどこかへ飛んで行きたかった。
 木にしがみつくのは馬鹿げている。(本文より)
       (帯より)


ほとんど前ぶれもなく夫・隆之が風呂上りに心臓麻痺で急死した。
63歳だった。
物語の主人公である専業主婦の妻・敏子は59歳。努力しなくては保てない円満さを感じ、しっくりいっていたとは言えなかった夫の死によって、初めて夫にとっての自分、自分にとっての夫の存在の意味を考えることになる。
さらに、十年もの間夫に別の生活があったことが明らかになり、まったく気づかせなかった夫の裏切りを憎み、気づかなかった自分を恨みもするのだった。
一人になったことで微妙に変化する友人との関係や夫の知己との交流、そして束の間の情事。
夫の死を実感できないままに呆然と過ごす敏子の身に次々と降りかかってくる難題。
それらを何とか乗り越えてゆくうちに、敏子の内面にも少しずつ変化が(きざ)してくるのだった。

若い人にはおそらくまだ実感として捉えられないのではないかと思うあれこれが、親を亡くし伴侶を失う年代に差し掛かる者にとっては我が身のことのように実感される。
読者の置かれている立場はさまざまだろうが、心情的にはほぼ間違いなく敏子と同じような想いに襲われるのだろうと思う。
切なくてやりきれなくて、しかし目を瞑るわけにはいかない物語だった。


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*モナミ*

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魂萌え! 桐野夏生

魂萌え !桐野 夏生 毎日新聞社 2005-04-21by G-Tools関口敏子、59歳、専業主婦。夫婦2人で建てた家もある。貯金もある。年金ももらえる。贅沢さえしなければ、夫と2人で平穏な老後を送れると思っていた。でも、夫が心臓麻痺で急死し、彼女は突然世間の荒波に放り出され

  • From: IN MY BOOK by ゆうき |
  • 2005/09/24(土) 03:52:32

魂萌え ! [桐野夏生]

魂萌え !桐野 夏生 毎日新聞社 2005-04-21定年退職し、そば打ちが趣味の夫・隆之と、夫婦ふたりで平穏な生活を送っていた関口敏子、五十九歳。ある日、隆之が心臓麻痺で急死したことをきっかけに、彼女の人生は一変する。八年ぶりにあらわれ強引に同居を迫る長男・彰之。長

  • From: + ChiekoaLibrary + |
  • 2006/02/06(月) 17:14:02

『魂萌え!』 桐野夏生

老いていきなり一人になるって、寂しいだろうなぁ。それなら、最初から一人でいて、寂しさに慣れるというか、それが当然の状態であった方が、全然いい。と、ますます本気で真剣にそう思いながら、読んでました。夫が心臓発作で突然死んだ悲しみに浸る間もなく、音信不通だっ

  • From: *モナミ* |
  • 2006/07/22(土) 12:28:21

この記事に対するコメント

ほんと、浮いたり沈んだりしている主人公から目が離せませんでした。アマゾンとかを見たらあんまり評判よくないみたいでしたけど、私は素晴らしいと思います!

  • 投稿者: chiekoa
  • 2006/02/06(月) 17:15:12
  • [編集]

え?評判よくないんですか!?
知らなかったぁ~。
わたしも好評価です。

若すぎる読者には理解されにくいのかもしれないですね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2006/02/06(月) 17:20:49
  • [編集]

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