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空を見上げる 古い歌を口ずさむ*小路幸也

  • 2005/09/26(月) 17:22:39

☆☆☆・・



パルプ工場とそこで働く人たちとその家族で町を成しているようなカタカナの町・パルプ町に起こった不思議な物語。
凌一には妻と10歳の息子彰がいる。故郷のパルプ町からは離れて暮らしている。
そして20年前、18歳で姿を消したきり一度も家族の前に姿を現わさず、年に一度の年賀状だけが届く兄・恭一の存在が心の隅から離れることはない。
そんな折、息子の彰が突然、「みんながのっぺらぼうにみえる」と言い始める。
凌一は20年前、恭一が姿を消す前に自分に言った言葉を思い出す。
 「いつか、おまえの周りで、誰かが<のっぺらぼう>を
 見るようになったら呼んでほしい」

すぐさま連絡を取り、さっそく翌日やってきた恭一が語るのがこの不思議な物語なのである。
恩田陸さんの『常野物語』にもどこか似ていて、しかし、まったくそれとは違った現われ方をする不思議。
恭一が姿を消さなければならなかった理由も明かされるのだが、自分は姿を消すしかなかったが、同じ力を持ってしまった彰の手は決して放してはいけない、という恭一の想いの切実さや強さにほろりとさせられる。
切ないホラーである。


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たりぃの読書三昧な日々
しんちゃんの買い物帳

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「空を見上げる古い歌を口ずさむ」(小路幸也著)

 今回は 「空を見上げる古い歌を口ずさむ」 小路 幸也著 です。この本は第29回メフィスト賞受賞作ですね。

  • From: たりぃの読書三昧な日々 |
  • 2006/10/20(金) 21:27:07

「空を見上げる古い歌を口ずさむ」小路幸也

空を見上げる古い歌を口ずさむ小路 幸也 (2007/05/15)講談社 この商品の詳細を見る 図書館で借りた「高く遠く空へ歌ううた」から、読み始めるところでした。 読む前に気づいて良かった。そしてこの本を買っておいて良かった

  • From: しんちゃんの買い物帳 |
  • 2007/10/30(火) 16:53:40

この記事に対するコメント

あれ、ホラーだったの?
冒険ファンタジーだと思ってた。
読み間違えたのかなあ。

  • 投稿者: しんちゃん
  • 2007/10/30(火) 16:57:28
  • [編集]

>冒険ファンタジー
なんでしょうね、一般的にはたぶん。^^;

わたしにはこういうの、ちょっとあとを引く怖さなので思わずホラーって書いてしまったけれど・・・。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2007/10/30(火) 17:09:52
  • [編集]

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