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沼地のある森を抜けて*梨木香歩

  • 2005/11/24(木) 13:05:48

☆☆☆☆・



 はじまりは、「ぬか床」だった。
 先祖伝来のぬか床が、うめくのだ――

 だいじょうぶだ。世界は終焉を迎えない。
 どんな形を取っても、何かに形を変えても、伝わってゆく何かがある。
 生命は、いつか必ず、光のように生まれてくる。
      (帯より)


亡くなった叔母からマンションごと引き継いだぬか床。
先祖伝来のぬか床。
何代もの女たちがかしずき人生を捧げたぬか床。
物語はこのぬか床を上淵久美が受け継いだところからはじまる。

子どもの頃からなんとはなしに不思議に思っていたことが、いざ自分がぬか床に仕える身になってみて初めて現実に目の前で起こり、不本意ながらも腑に落ちるのである。ぬか床から人が現われるなんて、目の前で見なければきっと誰も信じられないに違いない。
久美は、ぬか床に取り込まれなかったただひとりとして、ぬか床と自分自身のルーツを求めて故郷の島へと赴くのだった。

ぬか床にまつわる不思議憚の様相をとってはいるが、これはまちがいなく命の誕生を追及する物語である。小さな小さな一個の細胞の、そしてその中で繰り広げられ続けてきた壮大な生命の神秘の物語なのである。
沼地のある森を抜けたそこは、新しく生まれるための闘いの場であり安らぎの場であるのだ。

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沼地のある森を抜けて [梨木香歩]

沼地のある森を抜けて梨木 香歩 新潮社 2005-08-30一人暮らしをしていた叔母を亡くした久美。彼女が叔母から引き継いだものはマンションの部屋と、代々伝わってきた「家宝」のぬか床だったのですが…。なんだか、読み始めたときと、読み終わったときと、全く違うものを読ん

  • From: + ChiekoaLibrary + |
  • 2005/11/25(金) 17:21:11

● 沼地のある森を抜けて 梨木香歩

亡くなった叔母から、先祖代々の家宝であるぬか床を受け継いだ、久美。ある日久美は、そのぬか床の中に、青い卵があるのを見つけます。その卵が孵ると、幼馴染によく似た男の子が生まれて、そして・・・という所からはじまる、なかなか壮大な物語。久美は、この不思議なぬか

  • From: IN MY BOOK by ゆうき |
  • 2006/03/20(月) 11:29:32

「沼地のある森を抜けて」 梨木香歩

沼地のある森を抜けてposted with 簡単リンクくん at 2006. 4.21梨木 香歩著新潮社 (2005.8)通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る

  • From: 今日何読んだ?どうだった?? |
  • 2006/05/20(土) 20:44:16

「沼地のある森を抜けて」梨木香歩

沼地のある森を抜けて発売元: 新潮社価格: ¥ 1,890発売日: 2005/08/30売上ランキング: 101665おすすめ度 posted with Socialtunes at 2006/06/27なんか、30歳過ぎてからしみじみと、子どもが欲しくなった。昔は自分に自信のない私は、自分そっくりの子どもができたらぞ

  • From: 本を読む女。改訂版 |
  • 2006/06/27(火) 01:57:15

「沼地のある森を抜けて」梨木香歩

タイトル:沼地のある森を抜けて著者  :梨木香歩出版社 :新潮社読書期間:2006/08/07 - 2006/08/11お勧め度:★★★[ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]始まりは「ぬか床」だった。先祖伝来のぬか床が、呻くのだ。変容し、増殖する命の連鎖。連綿と息づく想い。呪縛を解い

  • From: AOCHAN-Blog |
  • 2006/08/28(月) 21:19:04

この記事に対するコメント

すごく壮大な物語ですよね。他人には説明しにくいですけど…。「えーと、ぬか床がね?」「え?ぬか床?」みたいな(笑)。いいから読んでください!って感じです…。

  • 投稿者: chiekoa
  • 2005/11/25(金) 17:22:06
  • [編集]

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