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天使の代理人*山田宗樹
- 2005/11/26(土) 14:19:33
☆☆☆☆・
望まれない命はありますか?
子供の命は誰のものですか?
中絶は殺人ではないですか?
『嫌われ松子の一生』の著者が再び生命の尊さを描いた
深く胸に響く衝撃作、書き下ろし!!
平成3年、生命を誕生させるはずの分娩室で行われた後期妊娠中絶。
数百にのぼる胎児の命を奪ってきた助産婦・桐山冬子がその時見たものは、
無造作に放置された赤ん坊の目に映る醜い己の顔だった。
罪の償いのため生きていくことを決意する冬子。
その日から決して声高に語られることのない、生を守る挑戦が始まった。
平成15年。
冬子は助産婦をしながら“天使の代理人”という組織を運営していた。
社会的地位を獲得することを目標に生きてきたものの、
突然銀行でのキャリアを捨て精子バンクを利用して出産を決意した
川口弥生、36歳。
待望の妊娠が分った直後、人違いで中絶させられた
佐藤有希恵、26歳。
何も望まぬ妊娠のため中絶を考えたものの産み育てることを選んだ
佐藤雪絵、20歳。
それぞれの人生と、“天使の代理人”が交錯し、
ひとつの奇跡が起ころうとしていた――。 (帯より)
優生保護法の元、経営のためにお産よりも中絶を多く扱う病院があり、快楽を求めた挙句あまりにも簡単にに中絶手術を受けようとする人々がいる。
胎児を命ある一個の人間とみなさず、虫歯か腫瘍のように扱いその思いを忖度せずにないものとする人々がいる。
そんな医療の現場にあって、自らも何百という命を断つことに手を貸してきた桐山冬子が、いたたまれない償いの気持ちから著し自費出版した一冊の本『天使の代理人』から物語ははじまった。
中絶しようと病院を訪れた女性の元に“天使の代理人”と名乗る中年女性が現われ、中絶とはどういうことか、今の胎児の状態はどんな風かを話し、中絶を思いとどまらせようとする ということが密かにあちこちで行われていた。桐山冬子はまったく知らないことだったのだが・・・・・。
助産師として妊産婦のケアをする――のちには“天使の代理人”の役割も負いながら――桐山冬子の側と、中絶しようとする女性たちの側の事情が交錯しながら物語りは進んでいく。そしてそこに患者の取り違えで心から望んだ妊娠を中絶させられた佐藤有希恵と、取り違えの相手で “天使の代理人”の説得で中絶をキャンセルした佐藤雪絵とのありえないような、けれど心温まる物語が絡められている。
妊娠中絶の是非にひとつの明確な答えが出たわけではないのだが、最後の数ページは特にじんと胸に迫るものがある。
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この記事に対するコメント
そう、答えを出している小説なわけではないですけど、すごく胸を打つものがありますよね…。読んでからけっこうたちますけど、まだずっしりした記憶を思い出せます。
ずぶずぶ沈んでいきそうだったのが
ラストで少し救われました。