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幻惑の死と使途*森博嗣

  • 2005/12/30(金) 17:57:04

☆☆☆・・



 「諸君が、一度でも私の名を叫べば、
 どんな密室からも抜け出してみせよう」
 ――自信に満ちたせりふと共にあらゆる状況からの脱出を果たす
 天才奇術師・有里匠幻が、衆人環視の状況の中で殺害された。
 さらに、彼はなんと遺体となってまで、最後にして最大の奇跡を行う!?
 犀川・西之園師弟が明かす驚愕の真実!
        (裏表紙より)


犀川助教授と西之園萌絵シリーズの六作目。

種があることが前提のマジックを隠れ蓑にし、人間の思い込みを見事に逆手に取ったトリックである。
犀川と萌絵は別々に謎に迫り――とは言っても犀川は萌絵よりもはるかに早く真相に迫っていたのだが――萌絵は犀川の助言なくして最後の謎解きを関係者の前でして見せる。それは、ただ一点を除いて犀川の考えと同じだった。
最後の一点こそが事の核心だったとしても。

この作品で興味を引かれるのは物語だけではない。奇数章しかないのである。そして、書かれなかった偶数章は次にくる別の物語になるようなのである。
次の物語の導入までこの段階で考えられているということなのだ。
森さん恐るべし。




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TB
自由の森学園図書館の本棚

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読書メモ『幻惑の死と使途―ILLUSION ACTS LIKE MAGIC』

『幻惑の死と使途―ILLUSION ACTS LIKE MAGIC』面白かったです。 もうこのS&Mシリーズは6作目で、ちょっと食傷気味なのだけど・・・ それでも一気読みしてしまうほど、面白いです。 奇数章だけしかなくて、偶数章は次の「夏のレプリカ」となっている、というふう...

  • From: 自由の森学園図書館の本棚 |
  • 2008/12/27(土) 20:35:08

この記事に対するコメント

ふらっとさん今晩は~!
今森氏に凝っておられるんですね。
私も森さんは必ず読んでおります。
頭の良い人って、凄いですよね。
「へ~」って、いつも関心しちゃいます。
来年もよろしくお願いしますね。

  • 投稿者: ERI
  • 2005/12/31(土) 19:45:10
  • [編集]

ERIさん
今年は的確で読みの深いERIさんのレビュー
たくさん愉しませていただきました。
来年もTBはできないかもしれませんけれど
かわらずよろしくお願いします。

森作品
シリーズを読み始めてしまうと
止められなくなっちゃいます。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2005/12/31(土) 20:36:16
  • [編集]

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