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エンド・ゲーム*恩田陸

  • 2006/03/22(水) 17:12:02

☆☆☆☆・



常野物語。
いままでの常野一族の物語とは少しばかり趣向が違っている。
一族の者同士 不文律を破って結婚し、子どもまでもうけ、一族と距離を置いて暮らしている一家が描かれている。とはいっても、父親はある日おばあさんに連れて行かれてしまい、長い間失踪中である。妻は、夫が≪裏返された≫かもしれないと思い、またあるときは単なる浮気で娘と自分は捨てられたのだと考えている。自分をどちらの立場に置いておきたいのかが自分でも計りかねているかのようにも見えるのだ。
娘の時子が大学を卒業する歳になり、周囲の≪あれ≫の目に怯えながらも母子ふたりの暮らしに慣れたころ、事態は急展開することになるのだった。

オセロの白と黒をひっくり返すように、裏返したり裏返されたりしながら常野の一族は生きてきた。望んだわけでもないのにどうしようもなく抗えない力を持ってしまったことから逃げもせずこれまでやってきたことが――確かにやってきた事実は消えはしないのだが――空洞を覗くように虚しくなるなんて。
オセロの駒がみな灰色になって裏返しても裏返されても勝負がつかないような空虚な心持ちになる。このラストはしあわせにつづくのだろうか、それともまた思いもしない泥沼へとつづくのだろうか。

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