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きいろいゾウ*西加奈子

  • 2006/03/24(金) 17:35:51

☆☆☆☆・



武辜歩=ムコさんと 妻利愛子=ツマさんという夫婦の物語。

そのままタイトルになっている物語中の絵本『きいろいゾウ』は、病気でさびしい思いをしている女の子のもとへ太陽みたいに大きな月の粉を浴びて黄色くなった空を飛べるゾウがやってきて、ひと晩だけ一緒に遊んでくれるお話。
ツマさんは心臓が人よりも小さく、子どもの頃一年間病院暮らしをしたことがあり、そのときに黄色いゾウと出会ったことがあり、ムコさんは子どもの頃この絵本を読んだことがあったのだった。お互いにそのことは知らないのだが。
動物や植物とおしゃべりができたり、見えないものを見たりするツマさんは、月の満ち欠けにもとても影響を受けている。あまりにも大きな満月に自分を持て余していたツマさんに、これから月は欠けてゆくから大丈夫だと声をかけたのがムコさんで、それがふたりの出会いだった。
あまりにもお互いを必要としてしまったツマさんとムコさんだったので、いつしかそこにいるお互いに安心できず、そこにいなくなる大切な人のことばかり思うようになり 伝えたいことを上手く伝えられなくなってゆくのだったが...。

相手に伝えたいことが溢れるほどあるのに なにひとつ言葉にできない、どうしてもなにも伝えられないもどかしさ。こんなにも大切な人なのに、いつかどこかへ行ってしまうのではないかというさみしさ。相手に頼り切って安心しきって生きていることの心許なさ。そんな愛すればこその目の前が真っ暗になってひとりぼっちになる感じが胸に迫ってせつなくなる。
自分にとってのきいろいゾウは誰なのか、それがわかって安心したとしても、きいろいゾウ自身もまた自分のさみしさを抱えていることに気づかされるのだ。

目次の次に並べられている「必要なもの。」はムコさんにとって生きていくための宝もののようなものなのだろう。
そして、物語の最後に再び並べられている「必要なもの。」の最後には、この世でいちばん大切なものが ひときわ大きくつけ加えられているのだった。


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今日何読んだ?どうだった??
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「きいろいゾウ」 西加奈子

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  • 2007/04/30(月) 18:13:56

きいろいゾウ/西加奈子

JUGEMテーマ:読書 読書期間:2008/8/13~2008/8/16 [文庫裏表紙より] 夫の名は武辜歩、妻の名は妻利愛子。お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う都会の若夫婦が、田舎にやってきたところから物語は始まる。背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説家のムコ?...

  • From: hibidoku~日々、読書~ |
  • 2008/08/23(土) 01:39:51

この記事に対するコメント

あああ~

ふらっとさんの感想,とても共感できます。大切だから,さみしい。大切だから,かなしい。それでも一緒にいたい。西さんは不思議に明るく,哀しい話を書かれるのが上手だなと思います。

  • 投稿者: まみみっくす
  • 2006/04/26(水) 19:51:25
  • [編集]

西加奈子さん、まだまだこれからの作家さんなので
次が気になりますね。
明るく哀しい路線でずっといかれるのかしら。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2006/04/26(水) 19:59:31
  • [編集]

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