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龍は眠る*宮部みゆき

  • 2006/04/05(水) 17:47:33

☆☆☆・・



 ・・・・・実はわたくしも、一度だけ、スプーンを曲げたことがあります。給食の時間に、うっかり足元に落としてしまって、拾いあげたら九〇度くらい曲がってしまっていたのです。びっくりして、何度かわざと落としてみましたが、二度と同じようにはなりませんでした。今考えても、あれだけは不思議です。(中略)
 昭和四十九年といえば、オイルショックの翌年、物不足パニック後遺症もさめやらず、太平の夢を破られて、終末論が盛んだった時代です。超能力という「万能の夢」がもてはやされるには、ぴったりの舞台背景がそろっていたのでしょう。
 そして、世紀末の十年に突入した現在の状況には、当時とよく似たものが感じられます。空前の新興宗教ブームなども、案外、スプーン曲げ騒動と根っこはひとつであるかもしれません。・・・・・(著者「あとがき」より)
――見返しより


雑誌記者の高坂昭吾が、ある不機嫌を抱え込んで実家から車で帰る途中の夜に一人のヒッチハイクの少年を拾ったのがそもそもの始まりだった。少年の名は稲村慎司。
そしてちょうどそのとき、行方不明になった小学生の男の子の捜索に行き遭ったのだった。
信じられないことに、慎司は事件の顛末を言い当て、高坂に頼ってきたのだった。

少年が本物のサイキックかどうかを、高坂自身が信じきれないということで、ラスト直前まで確認されないので余計に興味をそそられる。
そしてそれ以外にも、結婚式直前で破談になった元恋人・小枝子のこと、編集部のカコのこと、慎司の仲間の織田のこと、その友人で声を失っている七恵のこと、といくつもの興味の柱があって そのどれもが活き活きと惹きつけるである。
高坂のスタンスもなかなか魅力的である。

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