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聖者は海に還る*山田宗樹

  • 2006/04/09(日) 17:18:38

☆☆☆☆・



とても面白かった。惹き込まれるように読んでしまった。
題材は人の心を癒し導くカウンセラーという 現代になって益々望まれ欠くことのできない存在である。

19年前のある日、カウンセラーの別宮の元をひとりの母親が訪れた。十一歳の息子が、猫を殺しナイフで腹を裂いて内蔵を引きずり出すことをくり返すので、何とか止めさせてもとの素直な息子に戻してはもらえないだろうか、というのが相談の内容だった。そしてそれから少年とのセッション(カウンセリング)がはじまったのだった。

そして現在、中高一貫の進学校・陵光学院の中学部三年B組で、ある日生徒が担任教師を銃で撃ち、自らもその場で自殺するというショッキングな事件が起こる。生徒や教師たちの事件後の精神状態を慮って校長はスクールカウンセラーを置くことにした。比留間亮というそのカウンセラーは着実に生徒のみならず教師たちの心をも癒し、みなに慕われてゆくのだったが。

はじめのうちは少年の治療の様子と、陵光学院の様子が交互に描かれ、どこでどう関連しているのかと興味をそそられるのだが、あるとき、ぴったりと符牒が合うようにひとつに繋がり、ぞくりとさせられる。そしてその後の切なさは言いようがない。
人の心を扱う難しさと、そもそも人の心自体の難しさを思い知らされるようである。待っている律と拓郎と生まれてくる赤ん坊のところに、いつか彼が戻ってくることを祈らずにいられない。

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ゆうきさん

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この記事に対するコメント

この本は、なんかぞっとする本でしたね・・・。それに、ラストが切なかった!!

  • 投稿者: ゆうき
  • 2006/04/16(日) 13:44:08
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いつの日か戻ってきてほしいですね。
自分が自分であることに自信を持って。
下手なホラーよりもずっとずっと怖いお話でした。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2006/04/17(月) 07:24:50
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