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激流*柴田よしき

  • 2006/04/19(水) 17:38:35

☆☆☆☆・



「わたしを憶えていますか?」
澄み切った音色でフルートを吹いていた少女は、修学旅行中、消息を絶った。
二十年後、同級生達に突然届いたメール。
少女は生きていたのか――!?

「今」を生きるすべての人に贈る、渾身のサスペンス・ミステリー!

京都。修学旅行でグループ行動をしている、東京から来た七名の中学三年生。
知恩院に向かうバスで、その中の一人の女生徒、小野寺冬葉が失踪し、消息を絶った――。
二十年後。三十五歳となり、それぞれの毎日を懸命に生きるグループのメンバーに、過去の亡霊が甦る。
「わたしを憶えていますか?」
突然、送られてきた冬葉からのメール。
運命に導かれて再会した同級生たち。彼らに次々と降りかかる不可解な事件。
冬葉は生きているのか?
そして、彼女の送るメッセージの意味とは・・・・・?
  ――帯より


修学旅行中に冬葉がいなくなってから、同じ班のメンバーだったサンクマ・ナガチ・美弥・ハギコー・おタカ・サバ は、一人でいなくなってしまった冬葉に気づかなかったことで周りにあれこれと言われたことや、気づけなかった自分自身に傷ついていた。それから二十年、思い出す頻度は減っていても完全に忘れることはできずに それぞれの人生を生きていた。
冬葉と名乗る人物からのメールは彼らの心を揺さぶり、否応なく二十年前の記憶を辿ることになる。

メールが送られてきたのと前後するように、彼らの周りではさまざまな事件が起き、心身ともに翻弄される彼らの様子が ひとりずつ主役を替えて描かれ、その情報がみんなに共有されるたびに 気味悪さや不可解さも共有されていくのが、中学の同級生という特別な仲間意識を窺わせて効果的である。
メールの送り主の意図探しが犯人探しと同意ではないところが、この物語が心の物語だということを表わしているような気がする。
メールの送信者はただ、凪いでいるように見える湖に小石を落としただけなのだ。そしてそのあとに起きた数々の事件は小石が作った波紋に過ぎないのだ。
だが、小石もそれを落とした本人も想像できないほど波紋の力が大きく、一部が激流になってしまったのだ。
みんなの元に帰りたいという冬葉の想いが、二十年かけて彼らを呼び寄せたようだ。

 TB
ERIさん
ゆうきさん

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この記事に対するコメント

ふらっとさん、こんにちは!
この本、読み出したらとまらなくなってしまいましたよ。登場人物たちの感情がとてもリアルで、ぐいぐい読ませました。冬葉の死に方が辛かったですね・・。

http://oisiihonbako.at.webry.info/200511/article_20.html

  • 投稿者: ERI
  • 2006/04/21(金) 13:04:25
  • [編集]

読み応えありましたねぇ。
どこへ連れて行かれるのかなかなか見えてこなくて
それがかえって読み進む上で機動力になった気がします。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2006/04/21(金) 19:54:49
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>メールの送り主の意図探しが犯人探しと同意ではないところが、この物語が心の物語だということを表わしている

なるほど!その通りですね。ふらっとさんのこの書評は、簡潔なのに核心をついていてすごいです・・・。これを読んでわたしにもやっと、あの本のことが、色々わかってきましたよー。

  • 投稿者: ゆうき
  • 2006/05/12(金) 00:50:18
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いぇいぇ^^*
わたしはゆうきさんのレビューの的確さに感心しているんですよ。
早い時期でかなり踏み込んだ予想を立てていらっしゃるのも素晴らしいです。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2006/05/12(金) 07:09:08
  • [編集]

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