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海の仙人*絲山秋子

  • 2006/09/21(木) 17:20:22

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海の仙人 海の仙人
絲山 秋子 (2004/08/28)
新潮社

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碧い海が美しい敦賀の街。ひっそり暮らす男のもとに神様がやって来た―。
「ファンタジーか」
「いかにも、俺様はファンタジーだ」
「何しに来た」
「居候に来た、別に悪さはしない」
心やさしい男と女と神様。話題の新鋭、初の長編。


白いローブ姿でいままで何もなかったところからふっと姿を現すファンタジー。見えない人にはまったく見えないが、見える人にはある種デジャヴのように まさに当たり前のようにファンタジーとして見えるらしい。神様のようだがこれといって何かをしてくれるわけでもないし、現れてほしいときに現れてくれるわけでもない。ただなんとなく一緒にいて飲み、食い、眠り、話すだけなのだ。それでもいなくなると、ふと会いたくなったりもする。なにがファンタジーなのかと思い、彼こそファンタジーではないか、とも思う。
対して、人のほうはまさに<人>である。傷ついた心を抱え、傷ついた想いを抱え、どうにもならない毎日をどうにもならないままに送っている。そんな人と人の間で、ファンタジーが小さなかすがいになってもいるような気がする。



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絲山秋子【海の仙人】

よくも悪くも、「絵画的」という印象。ラストまで読んでみて頭に浮かんだのは、一枚の絵である。海の色は鈍い青。雷をつれてくる黒い雲。砂浜でチェロを弾く男がひとり。この絵からイマジネーションをふ

  • From: ぱんどら日記 |
  • 2006/09/26(火) 10:01:56

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