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ゆらゆら橋から*池永陽

  • 2006/10/15(日) 13:30:22

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ゆらゆら橋から ゆらゆら橋から
池永 陽 (2004/12)
集英社

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憧れ、初恋、上京、旅立ち…今はコンクリート製だが、かつては粗末な木の橋だった。橋桁がゆるんでいて、人が乗るとふわふわと揺れた。子供たちはゆらゆら橋と呼んだが、大人たちのなかには戻り橋というものもいた。この橋を渡ってからよそから村に来た女は、この橋を渡って村を去っていく。こんな風説が健司の子供のころ、村中でささやかれていたことがあった。健司の脳裏を、去っていった身近な女性たちの顔がよぎる。女の心はゆらゆら揺れない。ゆらゆら揺れるのは男のほう。『コンビニ・ララバイ』から2年半、情感豊かにつづられた“ゆらぎ”の物語。人は一生に何度、恋をすることができるのか。


ゆらゆら橋と呼ばれる橋のある村で生まれ育った健司の その歳々での恋愛模様を描きながら、彼と その愛が姿を変えていく様子がリアルに物語られている。
ある女性と出会って恋をする。そして、ひとつ恋をするたびに、ゆらゆらと心が揺れるように何かが少しずつ変わり、気づかないとしても もうもとの場所には立っていないのである。
戻り橋を渡って故郷に帰った健司は、もうそこには過去の自分がいないことに気づいたのだろう。

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