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「死霊」殺人事件*今邑彩

  • 2006/11/07(火) 09:46:08

☆☆☆・・

「死霊」殺人事件 「死霊」殺人事件
今邑 彩 (1998/11)
光文社

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東京駅で拾った客を世田谷の家に届けたが、「金を取ってくる」と言ったまま戻ってこない。痺れを切らし中に入ったタクシー運転手が目撃したのは、2人の男の死体だった。警察は直ちに捜査を開始。1階の和室の床下が掘られており、2階の寝室には、泥まみれの女の死体が…。その上、現場は密室状態で…。大胆・斬新なトリックが光る、長編本格推理小説の秀作。


プロローグでいきなり 奥沢峻介が愛人の雅美に 保険金目当てで妻の千里を殺害計画を持ちかけている。
そして、峻介を乗せたタクシーの運転手が、金を取りに家に入ったきりなかなか出てこない峻介を訝って様子を見に行き二人の男の死体を見つける第一章へと続くのである。死体の一人は奥沢峻介当人だった。

警視庁刑事・貴島柊志と所轄署の刑事たちとの関係も相変わらず興味深い。今回は、26歳の女性刑事飯塚ひろみとのコンビがとてもいい。最初のうちこそため息をついていた貴島が、段々とひろみを認めていく過程は、貴島の人となりを知ることにもなり たのしめる。そしてこの飯塚ひろみが 結構的を射た推理をして 凝り固まった視点を解きほぐす役目もするのである。
そして、一旦はこの不可思議な殺人事件の謎にすべて答えが出されるのだが、依然として飲み下されないままでわだかまっている貴島の胸のうちの何かが、さらに驚くべき事実を掘り起こすのである。
前作でもそうだったが、一度片がついたからといって安心してはいけないのである。ほんとうの事件はそこから始まると言えるのかもしれない。

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