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四十回のまばたき*重松清

  • 2006/11/16(木) 17:43:55

☆☆☆・・

四十回のまばたき 四十回のまばたき
重松 清 (1993/12)
角川書店

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彼女は夢を見続ける。
その胎内に小さな生命を宿しながら。
毎年冬を迎えると、まるで冬眠するように眠り込んでしまう少女、耀子。彼女は、素姓のわからない子を宿しながらも少しもためらわずに危険な冬越えを決意する…。疼くような痛みと、滲むようないたわりに満ちた、ロマンティックな再生の物語。


結婚7年目の翻訳家の圭司と大手の広告代理店でデザイナーとして働く玲子の夫婦は、寒くなると「冬眠」する玲子の妹耀子を冬眠の間預かりながら暮らしていたが、事故で妻を亡くし、ほどなく事故のとき不倫相手と別れたばかりだった知らされ、圭司は混乱するが泣くことができない。そんなとき、平素から誰とでも寝る癖のある耀子と関係を持ってしまうが、その年の冬にはやってこないと思っていた耀子は変わらずにやってきて、しかも妊娠しているという。父親は誰だかわからないが。圭司を父親に指名し、妊娠期間と冬眠期間を二人で過ごすことになってしまう。

売れない翻訳家だった圭司が珍しく売れ、時を同じくして妻が亡くなり、義妹は子を孕む。そしてまた、翻訳した作品の作家が来日し、さまざまな事件を起こす。
自分の中でいつも完結していて恐ろしくバランスの良いと言われる圭司と、一見してバランスの悪い耀子や セイウチのような作家。両極のように見える彼らの誰もが 胸のなかに穴を抱えているのだという。その穴をどう扱うかがその人の生き方と言っても過言ではないほどに。圭司の泣けない辛さも、耀子の眠るしかない辛さも、見ていて切ない。
いなかった人がいるようになることを想うことで、未来に小さな光が見えているのが救いである。

「四十回のまばたき」とはアメリカの口語英語で「うたた寝」の意味である。
うたた寝すれば、目覚めたときには、たいがいの悲しみや後悔は多少なりとも薄れてくれるというおまじないのようなものなのだとか。
人の抱える穴が四十回のまばたきの間に少しでも小さく浅くなりますように。



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重松清【四十回のまばたき】

「耀子」は冬眠する女である。なんだか村上春樹の小説みたいだが、これはSAD(季節性感情障害)という病気。百科事典にも出ていた。冬になると鬱の症状が出て、行動する気をなくす。人によって症例は様々だが、耀子の場

  • From: ぱんどら日記 |
  • 2006/11/20(月) 11:28:32

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