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死亡推定時刻*朔立木

  • 2006/12/14(木) 17:38:45

☆☆☆☆・

死亡推定時刻 死亡推定時刻
朔 立木 (2004/07/21)
光文社

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渡辺土建の社長・渡辺恒蔵の一人娘美加が、中学校から帰宅の途中何者かに誘拐された。
美加の母親・美貴子が電話で受けた犯人からの身代金要求は一億円。
「警察に言ったら娘の命はない」という常套句はなかった。
地元の有力者である恒蔵の通報によって、直ちに県警本部と事件発生署との合同捜査本部が設置された。翌日、犯人から美貴子に連絡が入る。高速道路から身代金を投下せよと言う指示だったが、警察は美貴子に身代金を投下させず…。
犯罪発生→捜査→裁判の実態を、現役弁護士である著者がリアルに描く。


面白かった。面白いという表現が妥当かどうかは置いておいて、一気に読まされる物語だった。
著者は小説家を志すが、小説執筆のために読んだ『刑事訴訟法』に興味を覚え法曹界に進んだ現役弁護士、ということである。
事件の裏側を知り尽くしていればこその描写に満ち、裏側を知ればこその冤罪の理不尽さや、罪を着せられる過程の抗いようのなさは、読んでいても歯がゆく腹立たしいものである。とはいえ、あとがきで著者自身が問題提起されているように、まず裁判の結果やマスコミ報道ありき、でそこから事件を遡ってたどっていたとしたら、この被告人・小林昭二に対する心証は無罪ではなかっただろう、とも思えて身震いする思いでもある。
あくまでも小説であってノンフィクションではないが、ひとつひとつの要素は現実のものだという本書から与えられる衝撃は大きい。
そんななかで、国選弁護人の川井倫明弁護士の仕事ぶりと、事務員の持田とき子とのやり取りには和まされる。

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