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憂鬱なハスビーン*朝比奈あすか

  • 2006/12/21(木) 19:23:24

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憂鬱なハスビーン 憂鬱なハスビーン
朝比奈 あすか (2006/09/01)
講談社

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自分の中に何の指針もないことに気づいて、私は急に泣きたくなった。戻る道はないくせに、向こう岸には渡りたくない。新しい港を探す気力もない。なんて中途半端なんだろう、と。
東大を卒業し、外資系一流企業で一番のスピード出世をし、弁護士の夫を持った。それなのに、今の私は満ち足りていない…。そんな凛子(29歳)はある日、かつての神童・熊沢くんと出会う―。
あなたは誰かに何かを期待されていますか?
あなたはまだ自分に何かを期待していますか?
第49回群像新人文学賞受賞作。


凛子は結婚退社して、いまは失業保険をもらうためにハローワークに通っている。夫は東大の同級生で弁護士。夫の両親に頭金を出してもらったマンションの広い部屋に暮らし、近くに住む姑も身奇麗で何かと気にかけてくれる。
ある日、ハローワークの紹介で行った再就職支援セミナーで 小学生のころおなじ塾で神童と呼ばれていた熊沢君に出会う。彼は自分のことを"Mr. Has been"だと言う。「かつては何者かだったヤツ。そしてもう終わってしまったヤツ。」と。
傍目にはとても恵まれて見える凛子だったが、実は胸の奥に容易に融かすことのできない氷の塊を抱えているのだった。そして、熊沢君との再会が、その塊をつつき、ほんの僅か崩したのかもしれない。
凛子に寄り添って読めるかどうかは、読者それぞれの立ち位置によって違ってくるのだろうとは思うが、登場人物それぞれの立場がよく描かれていると思う。誰が悪いわけでもなく、誰かひとり正解者がいるわけでもない。なのに歯車が噛み合わないとどうしようもなくなってしまう。




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ゼロから

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憂鬱なハスビーン(朝比奈あすか)

朝比奈 あすか 憂鬱なハスビーン 【あらすじ】郊外のファイリー向けマンションに住む若妻・凛子は、東大卒のエリートだった。結婚退職し、払い続けた雇用保険料を合法的に回収すべく、職安に通っていた。弁護士の夫。自宅でシャドウボックス教室を開く

  • From: Memory of unexpected life |
  • 2007/02/06(火) 01:20:04

朝比奈あすか 「憂鬱なハスビーン」

ハスビーンって何。とても響きが不思議だったので気になっていましたが読み進めていくうちに「Has been」(一発屋)なんですと。

  • From: ゼロから |
  • 2009/08/04(火) 05:37:35

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