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ポプラの秋*湯本香樹実

  • 2007/01/24(水) 17:31:42

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ポプラの秋 ポプラの秋
湯本 香樹実 (1997/06)
新潮社

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夫を失ったばかりで虚ろな母と、もうじき7歳の私。二人は夏の昼下がり、ポプラの木に招き寄せられるように、あるアパートに引っ越した。不気味で近寄り難い大家のおばあさんは、ふと私に奇妙な話を持ちかけた―。
18年後の秋、お葬式に向かう私の胸に、約束を守ってくれたおばあさんや隣人たちとの歳月が鮮やかに甦る。世界で高い評価を得た『夏の庭』の著者が贈る文庫書下ろし。


「生」の象徴のようなポプラの木の元で営まれる、傷ついた心を抱え それでも日常を過ごさなければならない人たちの物語。
死によって、或いは離婚によって、近しい人と別れなければならなかった人たちの それぞれの胸に開いた底なしの穴。しかし、いまここにいる自分は、なんとかその穴を塞いで歩き続けなければならない。生きている限り。穴の塞ぎ方は人の数だけあるのだろうが、誰にも必要なのは人の心の思いやりあるあたたかさなのかもしれない。悪者になったポパイのような風貌のポプラ荘のおばあさんは、気づかないうちに底なし穴にあたたかな気持ちを注いでくれていたのだろう。
失った人を、失った人とまだ失われていない自分とを、どう位置づけるかはとても難しく、それができたときに初めて 人は「生きている自分」として歩き出せるのかもしれない。
涙が流れ止まない一冊だった。



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「ポプラの秋」

湯本香樹実 著新潮文庫夫を失ったばかりで虚ろな母と、もうじき7歳の私。二人は夏の昼下がり、ポプラの木に招き寄せられるように、あるアパートに引っ越した。不気味で近寄り難い大家のおばあさんは、ふと私に奇妙な話を持

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  • 2007/01/26(金) 15:26:02

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