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東京公園*小路幸也

  • 2007/01/30(火) 18:47:20

☆☆☆☆・

東京公園 東京公園
小路 幸也 (2006/10/28)
新潮社

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「幼い娘と公園に出かける妻を尾行して、写真を撮ってほしい」―くつろぐ親子の写真を撮ることを趣味にしている大学生の圭司は、ある日偶然出会った男から奇妙な頼み事をされる。バイト感覚で引き受けた圭司だが、いつのまにかファインダーを通して、話したこともない美しい被写体に恋をしている自分に気づく…。
すれ違ったり、ぶつかったり、絡まったりしながらも暖かい光を浴びて芽吹く、柔らかな恋の物語。


大学生の圭司はカメラマン(フォトグラファー?)だった母を幼いころに亡くした。知らず知らずのうちに母の撮った写真に影響を受けて、圭司はカメラマンになりたいという想いで 公園で憩う家族の写真を撮りつづけていた。
そんなある日、公園で写真を撮った母娘の夫から 妻のあとをつけて公園でなにをしているのか写真に撮ってほしいと頼まれる。
ファインダーを通してその妻・百合香をみつめつづけた圭司は次第に彼女にほのかな想いを抱きはじめ...。
登場人物は多くないのだが、ひとりひとりがそれぞれ大切な役割を果たすべく丁寧に描かれている。のどかに見える公園の風景のなかでも、人は悩み 渇きを癒してくれるなにかを求めているのかもしれない。
上記紹介文には「恋の物語」とあるが、恋ばかりではなく、人と人とのあたたかな交わりの物語と言えるような気がする。

圭司と一緒に暮らしていて、いろんなことに手を出しているヒロが

「でもどれもまだ途中なんだよな」


と言い、圭司が

その言葉を僕は気に入ってる。
まだ、僕たちは途中にいる。
それは常に歩いていないと、どこかへ向かっていかないと使えない表現だ。


と考える場面が、なにげないのだが印象的だった。
恋も友情も、そして生きることも、いつも途中で、それは 少しでも前へ進もうと常に歩いている証なのだと腑に落ちる思いがした。

あたたかくやさしい気持ちになれる一冊だった。

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「東京公園」 小路幸也

東京公園posted with 簡単リンクくん at 2006.12. 2小路 幸也〔著〕新潮社 (2006.10)通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る

  • From: 今日何読んだ?どうだった?? |
  • 2007/01/30(火) 20:21:04

東京公園 小路幸也 新潮社

「写真を撮る」ということが、私にはどうも苦手だ。これは絵を描く、ということにも繋がるのかもしれないけれど、私が写真を撮ると、なにやらボケる。いや、ピンボケではなくてちゃんと写ってるんですが、自分の撮りたい、と思ったものは写っていないんですよ。どうも、それ

  • From: おいしい本箱Diary |
  • 2007/01/30(火) 21:10:00

東京公園  小路 幸也

東京公園小路 幸也 07-29 ★★★★☆ 【東京公園】 小路 幸也 著  新潮社 《ファインダー越しに見る、柔らかな恋とは、……》 内容(「BOOK」データベースより)「幼い娘と公園に出かける妻を尾行して、写真を撮ってほしい」―くつろぐ親子の写真を撮ることを

  • From: モンガの独り言 読書日記通信 |
  • 2007/01/31(水) 00:32:10

東京公園 小路幸也

カバー写真は広瀬達郎(新潮社写真部)。装幀は新潮社装幀室。書き下ろし。主人公で語り手の志田圭司は、旭川出身でカメラマン志望の大学生。建築工学を学びながら「家族」を自分のテーマに決めて、公園でくつろぐ家族写真の撮影をし

  • From: 粋な提案 |
  • 2007/01/31(水) 14:38:38

「東京公園」小路幸也

タイトル:東京公園著者  :小路幸也出版社 :新潮社読書期間:2007/02/07お勧め度:★★★[ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]「幼い娘と公園に出かける妻を尾行して、写真を撮ってほしい」―くつろぐ親子の写真を撮ることを趣味にしている大学生の圭司は、ある日偶然出会

  • From: AOCHAN-Blog |
  • 2007/03/16(金) 21:18:56

東京公園/小路幸也

読書期間:2007/4/1~2007/4/3他の方々のブログで見た記憶があったこの作品。図書館で見つけたので借りました。

  • From: hibidoku~日々、読書~ |
  • 2007/04/05(木) 23:08:29

東京公園 小路幸也著。

≪★★★★≫ 今まで小路氏は、面白くないわけじゃないし、でも感性の相性はまあまあかなって程度だったんだけど、これでグンと近づいた。 幼い頃に母を亡くした圭司。フォトグラファーだった母の影響もあって写真を撮ることが大好き。とくに、公園で心の感じるままに家族...

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2008/03/25(火) 17:09:11

この記事に対するコメント

読んだときの心の状態があまりよくなくて、変な感想を書いていますがとてもさわやかなお話でした。誰もがやさしくて、すこし不器用で。あたたかな世界を感じました。

  • 投稿者: まみみ
  • 2007/01/30(火) 20:22:14
  • [編集]

たしかに、読むときの心の状態でかなり変わりますね、感想。

読後感がとてもいい物語でした。
井の頭公園には割とよく行くので景色が思い浮かんでより愉しめました。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2007/01/30(火) 20:35:38
  • [編集]

ふらっとさん、こんばんは。
圭司のたどる人生の「途中」のひと時を、優しく切り取ってありましたね。人生を丁寧に生きている主人公の魅力が、爽やかでした。

  • 投稿者: ERI
  • 2007/01/30(火) 21:12:37
  • [編集]

初めまして

こんばんは、ふらっとさん。
ブログは、ときどき見させてもらっています。
私も井の頭公園には散歩に行きますので知っているところが出ると嬉しいです。この本は、読後感が心地よい本でした。
今後共、よろしくお願いします。

  • 投稿者: モンガ
  • 2007/01/31(水) 00:38:35
  • [編集]

>ERIさん
圭司が亡くなったお母さんを大切に想いながら、新しい家族関係も大事にしているところとか、被写体にする人たちへの気配りとか、友人たちとの関わり方とか。読み進むほどに圭司が愛しくなってしまいました。

>モンガさん
ようこそここへ^^♪
思わず公園へ行きたくなりますね。
そして、家族たちのいる風景を眺めたくなります。
こちらこそどうぞよろしくお願いします。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2007/01/31(水) 07:20:34
  • [編集]

あたたかい気持ちにさせてくれる物語でしたね。
圭司と百合香さんとの言葉を交わさない会話、圭司の周囲の人たちとのハートウォーミングな関係…
とても素敵でした。

  • 投稿者: 藍色
  • 2007/01/31(水) 14:38:11
  • [編集]

言葉のない会話、とっても素敵でしたね。
言葉にしないからこそ「ほんとう」が伝わることって実際にありますものね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2007/01/31(水) 17:22:50
  • [編集]

読後感が清々しかったです。みんなきれいな心を持った人たちばかりで、こんな風に生活していけたらな~って。
ヒロの過去の話には泣けたし、血の繋がらない親子関係もそれぞれが相手を大切にしてるのが分かるし、圭司の優しい目線も、全編通して優しい作品でしたね。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2008/03/25(火) 17:15:14
  • [編集]

胸の中が洗い流されていくような物語でした。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2008/03/25(火) 17:22:25
  • [編集]

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